初恋も不倫も乗せて観覧車    登仙坊 24
無粋に野次馬 やきもちを焼く     
観覧車はゆっくりと上がっていってゆっくりと降りてくる。
ジェットコースターと違って過激ではない。穏やかだ。老若男女皆に優しい。

観覧車に乗るならば夕暮れがいい。
日が暮れた夜空に高く高く上がって行き、町の生活が遠く暗闇に消えて、
点った光が美しく輝く中に、雑踏の音が少しづつ遠くなって二人きりの静けさがやってくる。
言葉などいらない愛の空間が、ゆっくりと透きとおった氷ができるように、夜空の中に出来上がる。

よそ者がなんと言おうと、此処は雑踏と損得とからずうっと離れた、
高い高い純粋で美しく、綺麗に透きとおった愛のカプセルなのだ。

高い高い頂上で、カプセルは美しい光と静寂の中で、
静かにゆれて愛をゆすり、孵卵器のように愛を温める。
そして温まった愛を閉じ込めて、ゆっくりゆっくりと降りて来て、
孵りそうな愛を夕暮れの地上に解き放つ。

観覧車は透きとおった愛の孵卵器。
野暮な野次馬が何と呼ぼうと愛は一つ。

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