帰りぎわ とらなきゃよかったこの電話  5時に帰る子 22
 細腕孤軍 会社を支える       


今日はチョット早めに机の上を片付けて、化粧を念入りに整えて
作業服から買ったばかりの私服に着替えた。
空の事務所に弾んだ声で「さよなら」と挨拶して、
タイムカードを押しドア―を開けようとしたら電話が鳴った。

暫く様子を見ていたが誰も出てくれない。
習性なのか、電話のベルに呼び寄せられて、出てしまった。

所が、伝言では済まされない話だった。
「10分後に今一度お電話を差し上げます」と返事して、
予定変更の電話を家にするが、お話中で通じない。

社内の担当者を探すが、「たった今帰った」所だ。
相手に電話して事情を説明するが、緊急事態で相手も困っている様子が伺える。
「其れでは 今一度」と約束して、電話を切り 社内電話をあちこちにかけまくる。
そんな中に、またもや別件電話が飛び込んでくる。

たった一人で事務所の中を行ったり来たりの大忙しだ。
やっとの思いで関連部署の課長や部長を探して貰って、
相手の意向を伝えた時には1時間も経っている。

一人ぼっちで、他に誰もいない事務所。
タイムカードは押してしまった。
家にも連絡できなかった。
職務外の仕事で只の時間を潰した。
仕立て下ろしのファッションでのデートはだめになった。
彼には怒られる。
家に帰っても食事はない。

心優しいオフィスレデイーの大きな犠牲の上に、誇り多き当社は成り立っているのです
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