親の夢次々破り子は育つ   待ち人来らず 18
今は立派なカリスマ職人          


「これでいいのだ。」
だいたい親が天才的マニュアならいざ知らず、
凡人の親が子供に託した「親の夢」等と言う物は、叶えられると思うのがおかしい。
天才と凡人を同列に置いて、同じように物事が運んで行くと思いこんでいること自体が
滑稽で、哀れで、可笑しいではないか。

自分の凡人さを省みないで棚に上げ、
そのDNAを引き継いだ子供に「天才に期待するのと同じ」夢を、身勝手にも託して見栄を張りつづける。
将来は、NOMOだ!ICHIROだ! 横綱若乃花だ! 美空ひばりだ! はたまた叶姉妹だ!と、
親ばかとはいえ滑稽で、哀れで、悲しいではないか。
どうせ叶えられない夢を見るならば、
「鉄人アトム」とか「ドラエモン」とか「天才バカボン」に成るような夢を
託すほうが罪がなくていい。

お受験をして私立の付属幼稚園へ入れて、
小学校と中学校といい子で過ごし、
そろそろ高校受験と言う頃になっておかしくなる。
「高校には行かない」「大学には行かない」と言い出す。
良い子に育てたはずなのに突然変ってしまう。

凡人は論理的思考は出来ないで、情緒的だから何が起こったのか分からなくなってしまう。
実は、此れが健全なのだ。

自分で物事を考えられる子は、親の言うことを聞かなくなるのだ。
先生の言う事も聞かなくなるのだ。
これでいいのだ。

子供達は、新しい時代を生きるのだから、親が暮らした古い時代の規範を新しく換える役割がある。
だから大人の言うことを否定して、新しいものを探そうとしている。
其れなのに親は文部省と学校が作った、親たちでさえ守れない古めかしい、
しかも親がやっていることと学校で禁止していることが同じであるような規範を、
子供達に押し付ける。

時代の流れを敏感に察知している子供達は、
親や先生の言う事が時代の流れからずれていて、役に立たない事を知っている。
彼等にはそれを、理屈で説明する方便を知らないから、体で抵抗をして見せる。
芯の強い考えのある子は、頑なに抵抗をする。
そして親や先生が期待していた方向とは違う道を歩き出す。

先生や親を安心させた子は、就職が無くてプータローを決めこんでいるのに、
先生や親を泣かせた子は、ゲームソフトを作ってその道の「先生」になる。
或いは「カリスマ職人」になって、店を持つ。
お笑いでテレビに顔がチラチラ見えるようになる。「北野武」現象です。

「これでいいのだ。」バカボンは天才です。
先生ってなんだったのでしょう。?



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