赤ちょうちん 会議の時より 意見出る サラリーマンA  15
会議の禁句 先に吐き出す  

あまり人気がない路地を入ると、
洗濯をしていない古着をまとったような、
赤い少し大きめの提灯が、
低い軒下にしょんぼりと下がっている。

引き戸を開けて中に入ると、
油が着いた蛍光灯から出る光の中に、
焼き鳥の煙が立ち込め、
所狭しと人が詰まっている。

賑やかだ。
活気がある。
たこぶつに 冷奴と 焼き鳥で 焼酎の御湯割りを片手に
「今日の出来事」から会議が始まる。

人間性を取り戻し
 「腹から湧き起こった自分の意見」を、
誰にも憚らずに言うのだから力が入る。
だから声も大きくなる。
聞くほうも はばかる所や 気兼ねなど無く「本音」を喋る。
みんな勝手に「腹のそこから沸き上がった本音」を吐き合う。

「この間だってそうだ、俺が言った通にやっていれば儲かっていた筈なのに、
専務の言うこと聞いたためにあんなに損を出した。
大体あいつ等現場も見ないで 分かっている積もりでいるからいかん。」
とやれば、「大体ゴルフばかりやっていて、勉強していないよ。
書類を読んでも読みっぱなしなんだよ。
考えようとしないんだよ。」
とやる。

時には脇の傍聴席から異議が唱えられる。
結論など出さなくて良い。
理屈を通す必要も無い。

馬鹿な部長に、日和見専務、結論だせ無い社長がいかん。
俺が一番素晴らしい。
「俺が社長になるしかない」と結論出して、
本日も会議は御開きとなる。
会議費は、割勘で一人3000円なり。
明日の会議は居眠りで無事通過。


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