プロポーズあの日にかえってことわりたい
 恐妻男 13
食った分だけ 返していけよ

チョット待てよ。あの頃の彼女は確かに美人だった。
デートでハイキングに行くとゆで卵が2つとサンドイッチを作ってきてくれた
美味しかったナー。

座ろうとするとバスケットから何か出して、敷いてくれたよ。
気が利いていたナー。

食べ終わると、ウエットテイッシュ−で口を拭いてくれたっけ。
優しかったナ−。

それでつい言ってしまたよ
「ずっと俺の夕飯作ってくれよ」と。


最初の子供が生まれた時、俺は嬉しかった。
子供がおっぱいを欲しがって泣く。彼女は子供におっぱいをやる。
そのおっぱいの真ん丸くて大きかったこと。

俺は洗濯物のオムツを取り入れて畳んでやった。

それ以来洗濯は俺がやることになたのだ。
子供が泣く度に、茶碗洗っておいて。冷蔵庫にあるもの探して、食べておいて。
と俺の「テリトリー」が増えてきた。
2人目の子供の時は、小さな子が2人に成って、子供の世話で妻はてんてこ舞いだった。
そして あれやって、此れやってとなんでもかでも頼むようになったのだ。
仕方ないから俺は手伝う事にした。

妻は子供におっぱいをやるからお腹がすくと言って、良く食べるようになった。
確かにそうだろう。2人分、3人分だから無理もない。
子供は可愛かった。特に俺のところの子供は可愛かった。他所の子よりとても良い子に見えた。
妻は手を掛けて、こんな可愛い子にしてくれている。
有難う、と思って一生懸命稼ぎ、働いた。


しかし子供が大きくなっておっぱいを飲まなくなってからも、
妻の食る量は変らない。
俺の「テリトリー」も減らない。
それどころか子供が独立しても
「食欲」と獲得した「権域」は変更しない。

風呂だって早々と入って裸で歩き回る。
昔まん丸だったおっぱいはぺしゃんこで使用不能だ。
食うものは食うがやることはない。
結果はご存知の通りだ。

俺は「ずうっと俺の夕飯作ってくれよ」と頼んだのだ!
作っているのは俺ではないか!。


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