社会に怯える・後期高齢者
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最近俺は怯えている。
世の中の空気が高齢者を圧迫して息苦しい。

俺が歳を取ると周りがみんな歳を取る。
体が老化し、頭が老化し、目も口も鼻も耳も舌までも老化する。
車も植木も家も塀もみんな老化する。
体が老化すると怪我と病が起こり、病院に行く。介護を頼む。
車や家は錆びたり朽ちたりしてポンコツになる。
妻も兄弟も友人も老化し、思いやりも老化し己の事でいっぱいで
他人事はすり減って、言葉は荒くなり、便りは稀になる。
頼みの貯金は減り続け、年金も生活費も老化し、先細りになる。
日が経つと伴に俺を囲むものの老化が進む。

日が経つのが怖い。時と伴に進む老化が怖い。
俺は時と伴に変わる周りと空気に怯える。
俺は怯えている。
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「76歳」と年を告げた。
「あっちへ行きましたね」と従妹が言った。「私は十年はこっちに居ます。」
私は何かを超えて「あっちへ」来てしまった。
『こっち』では怯えることを知らなかったが、『あっち』に来て怯えた。
怯えている。
だれが決めたか知らないが『あっち』への境は切り立った崖だ。
崖から突き落とされて怯えている。
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君は知っているか?「楢山節考」を、
今の世は国がお山へ行く日を決めている
「綿入れ」を脱いで置いて行けと決めている
君たちは
これが当たり前だと教えられて 疑問を持たない。
父母・祖父母への深い敬愛の念も老化に老化を重ねている
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君は怯えないでいいのか
戦争への恐怖が老化しているではないか
民主主義の土台が老化しているではないか
平和を求める心が・博愛の心が老化しているのだ
老化したトンネルが崩れ落ちるように
平和や博愛を支える心の耐力が無くなって
平和が崩れ落ち、世界に争いが落ちてきて
多くの人が犠牲になる。テロリストになる。難民になる。

俺は怯えている、自由経済の非道さを
選挙で選出した政治家が、同じ日本人を奴隷化していく仕組みを作る
世界の富を米国の富豪に集める仕組みを作る
俺は怯えている
「人類を守る」という言葉が心をなくして、美辞麗句として眩しく光り
人を瞽にしている

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